10年越しの恋
夜 心配してくれていた二人にメールを送る。

”今日はメールありがとう! なんとか無事に終わりました。予想通り家のこととか、留学してたことなんかを聞かれたけど、まあ適当に答えておきました。最初は緊張して手が震えてお箸落としちゃいそうだったけど(>_<) また、ゆっくりお茶しようね”

送信終了を告げる電子音が鳴った。

携帯をベットへ放り投げ、自分も横になった。
天井を見上げながら考える。

「私なんかでいいのかな…」

見ていないTVからは耳障りな作られた笑い声が聞こえる。チャンネルを変えようとリモコンを手にすると携帯が鳴った。

♪プルルルル♪

さっきベットへ投げた携帯を手探りで探す。

”雅紀”

「もしもし」

「俺、今日はお疲れ様」

「どういたしまして。まあちゃんもスーツ着てたし、入学式とかって案外疲れたんじゃない?」

「うんまあね。でも俺若いから」

「そうだよね、私より3つも若い」

「そうやって拗ねない、すねない。明日は大学?」

「まだまだ休みだよ。末ぐらいからかな?ちゃんと授業が始まるのは」

そんな会話をいつものように30分程続けた。

「じゃあ、おやすみ」

「瀬名、愛してるよ」

胸に響く。毎日の言葉。

私も…。そう思いながら…。

「ありがと」そう言って電話を切った。
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