牛乳と猫スーツ。
「今日は日頃の疲れも吹っ飛ぶ薬、その名も『フキトーブG』よ!香りもいいから、何か飲み物に入れてもいいわよ。」
左手を腰に当てながら、右手に持った赤い半透明の液体が入った小瓶を高らかに上げる。
「おおおお〜。」
パチパチと手を叩く彩華。テレビの通販番組のサクラなどではなく、純粋にすごいと感じているのだろう。
「1つ売れ残ったから、あなたにあげるわ。」
「ありがと〜。知佳さん!」
彩華がまたスキップで進んでいった。
店をアタッシュケースくらいの小ささに折り畳んで、知佳は歩き出した。
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……………。
……。
【蓮と彩華の部屋】
部屋では優華が紅茶とお菓子の準備をしており、ソファーに座った蓮は膝にクロアとシロウを乗せながら新聞を読んでいた。
「ただいま〜!!」
バンッと勢い良くドアを開けるので、シロウが飛び跳ねて驚き、クロアは興味なさそうに寝返り打つ。
「帰る途中に知佳さんに会ってね、疲労回復にいい薬もらっちゃった!」
「知佳もたまには役に立つ物を作るからな。朝の疲れもあるし、もらおう。」
蓮はクロアとシロウを優しく膝からソファーへ下ろしてテーブルに向かう。