牛乳と猫スーツ。
「あの…知ってるんですか?」
「逆に聞きたいんだけど。龍堂学園のこと、どこまで知ってる?」
新しいタバコに火をつける。
「どこまで?蓮さんが会長で北部を統一、南部と停戦、そして政府と戦ってた…。」
「なら、蓮の前の会長は知ってる?」
「いえ、まったく知りません。」
「一度だけ、戦っているとこ見たけど、化け物みたいに強いヤツだったわ。『龍の名に恥じぬ者』って言われてた男よ。」
大きくタバコを吸って、煙を上に吹き出す。
「名前は『龍堂椿(つばき)』。」
「「え!?」」
2人はまさかと思い、驚いて声を出す。
「察しの通り、菫の兄よ。この男が会長の頃、龍堂学園は生徒会と風紀委員会の2つに分けてたの。」
「その風紀委員長が真由香さんで、2人は付き合ってたんですか?」
「そう、もう分かるわよね。生徒会長になる条件は、会長が推薦するか、会長を倒すか。」
「菫さんのお兄さんなのに…推薦してくれなかったんですか?」
「仲は良くなかったらしいわ。まあ、良い悪いに関わらず、あの男が譲るなんてことは無いでしょうね。互いに譲れない物があるなら戦うしかないわ。」
長くなったタバコの灰を落とす円。
「結果は蓮の勝ち。風紀委員会は蓮の下についた。そして今に至るわ。」
「蓮さん……。」
直樹はうつむいて、蓮の名を呟く。