牛乳と猫スーツ。
沸騰して水蒸気が出て音が鳴ったので火を止める。マグカップにインスタントコーヒーを入れて、お湯を注ぐ。
『眠らせる…。』
「君なら簡単だろう?特殊音波で直樹を眠らせて血を吸っていたんだし。」
『知ってたの!?』
「少し調べただけだよ。まあ、直樹と映画を楽しみたいなら2人を眠らせればいい。」
湯気が出るコーヒーをゆっくり飲む。
……………。
………。
…。
バッグの中で操作していたケータイを切り、遥は少し体勢を低くして後ろを向く。
彼女が口笛を吹くように息を吐くと、モスキート音に似た音が鳴る。これは適合者確認のため、相手への麻酔と自分の身の安全を守るための能力である。
その音を聞いた優華が眠るが、エリーゼはまだ眠らない。
「(くっ!?映画の音もあるし、たまに利きにくい人もいるのよね…。こうなったら!)」
遥は思いっきり息を吐く。そしてエリーゼはようやく眠った。
「(とりあえず、これで安心ね。)」
映画の続きを見ようと、前を見たとき、直樹も眠っていることに気づく。しかも、周りを見回すと他の客全員眠っていた。