牛乳と猫スーツ。
「そ、そんなに大変だったの?」
「パーフェクトを出すまで許してくれなかったんだ…。ギターもバイクも、全て1日でマスターさせられたよ、思い出しただけで古傷が…。」
イスに座って、苦笑しながら話す。
「完璧な人に教えてもらうのも考え物ね…。」
そう言って、遥は立ち上がって7ポンドのボールを持つ。目を閉じて深呼吸する。そしてボールを投げた。
ボールは右に大きくそれていき、ガーターギリギリのところで曲がる。そして斜めからえぐるように進み、ピンを全て倒した。
「すごいな!俺はカーブボールなんてできないよ。」
「小さい頃に、お姉様に教えてもらったの…。」
さっきの直樹と同じように、遥のテンションが下がる。
「何かあったの?」
「残ったピンの数だけナイフで刺されるの…。まだ痛みを克服できてない時だったから、怖かったわ…。しかも痛みより、ナイフを持つお姉様の楽しそうな顔が一番怖くて……。」
直樹の隣に座って話す。
「俺達の周りって、普通の人がいないよな…。」
「そうね…。まあ、私達も普通じゃないけどね……。」
2人はさらにテンションが下がり、イスに座りながら溜め息を吐いた。