牛乳と猫スーツ。
「ちょっと、ゴメン。」
遥は立ち上がって手を合わせて歩いていく。
「どこ行くの?」
直樹に尋ねられて遥は立ち止まる。そして振り返ると、少し怒った顔で頬を赤くしていた。
「ト・イ・レ!」
「すみませんでした…。」
歩いていく遥の背中を見ながら謝った。
「朝は下着姿で部屋に来るけど、やっぱりトイレは恥ずかしいんだな。」
…………………。
…………。
……。
「ふぅ。」
手を洗いながら鏡に映る自分を見て小さく息を吐く遥。
「お姉様に続いてエリーゼや優華に会うなんて…ツいてないわね。」
ハンカチで手を拭きながらトイレを出る。
「久しぶりね〜。楽しみましょ、悠斗。」
「俺の腕力でボールをピンのところまで飛ばしてやるぜ!」
「………………。」
目の前を見知った二人組が歩いていた。というか真里香と悠斗だった。
遥は無表情で電話をかけた。
…………………。
…………。
……。
【龍堂学園・生徒会室】
「あっ……そ、そこは………そこは…らめぇ…。」
頬を赤く染めて声を上げるのは、先日届いたマッサージチェアを堪能する沙織だった。
ケータイが光りながら震える。スイッチを切り、いつもの表情に戻った沙織が電話に出る。