牛乳と猫スーツ。
夕食を終えた2人は駅前にあるカラオケに来ていた。
「ららら〜♪」
遥が歌い終える。
「うまいな。よく来るの?」
「最近は来てないわね。1年の頃は人付き合いを考えて、たまに行ってたけど。」
『今日は盛り上がっていくぜぇ〜!!』
隣の部屋から大声が聞こえる。
「あれ?今の声、どこかで聞いた気が…。」
「ゴメン、直樹。ちょっと外すわね。」
遥は手を合わせながら部屋を出た。そして電話をかける。
「もしもし?」
『なんだい?また何かあったのか?』
「あったのかじゃないわよ!隣にバカ会長がいるのよ!なんでこうも行く先に知り合いが出てくるのよ!!」
隣から聞こえた声は彩華だった。
『デートなんだから、もっと気の利いたところに行くべきじゃないか?』
「うるさいわね!だいたい―――」
『私ついていくよ!どんな辛い世界の闇の中でさえ〜!!』
また彩華の声が聞こえる。そして遥は固まっていた。驚いたからである、ケータイからも彩華の声が聞こえてきたからである。
遥はゆっくり隣の部屋を覗く。そこにはアニソンを歌う彩華、ケータイを持った沙織、焼きそばを食べるエリーゼ、姉の歌に合わせてマラカスを振る優華がいた。
「勢揃いかよっ!!」
『朝、彩華が誘わなかったかい?夜にみんなでカラオケに来る予定だったんだが。』
沙織の言葉に、遥は朝の出来事を思いだしてみる。