牛乳と猫スーツ。
天使は微笑みながら、ゆっくりと首を横に振る。
気づくと、直樹から邪念が無くなっていた。
「(ありがとう。君のおかげで、俺は道を踏み外さずに済んだ。)」
心の底から天使に感謝する直樹だった。
「直樹、どうかしたのか?」
「蓮さん、今天使が――――」
振り向いた先には全裸の蓮。
「両方かぁ〜!!」
鼻血を噴き出して、直樹は倒れた。
…………………。
…………。
……。
ティッシュを鼻に詰めて、直樹はベンチで横になっていた。
「ほら。」
蓮が直樹の額にスポーツドリンクを置く。
「すみません…。」
ゆっくりと起き上がって、キャップを外して飲む。
「体調が悪いなら、無理して付いてこなくてよかったんだぞ。」
「いえ、これは体調が悪いんじゃなくて、むしろ逆です……。」
「ん?よくわからないが、少し休もう。」
蓮は直樹の隣に座る。今までも何回もあったが、今ではただそれだけのことで、直樹の心臓の鼓動が速くなってしまう。