牛乳と猫スーツ。
「あの、蓮さん。ちょっと聞いてもいいですか?」
「ん?」
蓮は缶コーヒーを一口飲む。
「過去と今って、どっちが大切なんですかね?」
蓮は数秒、直樹を見つめてから前を向き目を閉じた。
「お前が何を悩んでいるかわからないが、今は大切だよ。」
「昔…好きだったかもしれない人がいて。でも、その子のことを覚えてないんです……。」
「そういうことか。」
蓮はコーヒーを飲み干して、近くにある缶専用のゴミ箱に投げ入れる。
「今を大切にしろ。思い出は大切にするものであって、引きずる物じゃない。」
「そうでしょうか?」
「私も同じようなものだから。」
そう言って、蓮は立ち上がる。
蓮と同じ。それだけで直樹は気持ちが楽になった。今を大切にしようと決めた。
………………。
…………。
……。
2人はデパート内を見て回っていた。
「直樹は何か買う物はないの?」
「学園の売店でも買えるんですけど、参考書ですね。テストの点がイマイチなんで、真面目に勉強しようかと…。」
苦笑しながら話す直樹。