牛乳と猫スーツ。
「ん……っ…。」
目が覚めて、目覚ましを見る直樹。2時31分、約2時間くらい寝たらしく、腹痛も収まり、気分もいい。
起き上がりドアを開けると、ショートで淡い紫色の髪をした女の子が直樹に気づいて振り返る。
「あら、アンタいたの?」
彼女は柊真里香(まりか)。真由香先輩の妹で、直樹と同じ1年生だ。
直樹が会長の仕事を手伝い初めてから知り合った人である。彼女も風紀委員で、優秀なので次期風紀委員長候補なのだが、先輩曰わく、「まだ真里香ちゃんには足りない物があるわ〜」らしい。
そんなこんなで彼女とは顔見知りなのだが、彼女は直樹が嫌いらしい。
話する度に酷いこと言われるので、ここはスルーしようと直樹は心の中で呟く。
直樹が気づかないフリをして生徒会室から出ようとすると…
「柊流、胴縛固め(どうばくがため)。」
すごく細いワイヤーが体に巻き付けられていた。柊家に代々伝えられている技らしい。真由香先輩も使えるらしいが、直樹は見たことはない。
「私が聞いてあげてるのに無視するなんて、いつから偉くなったのアンタは?」
「悪かった、だからコレほどけ。」
すると首にもワイヤーが巻き付けられた。
「あがっ……げ………。」
「ほどいてくださいでしょ?」
「ほど…えてくだ…ぁい……。」
その言葉にやっとワイヤーから解放された。