牛乳と猫スーツ。
グラウンド北西部。野球部、ソフトボール部がある場所である。
「ちょっと!会長はこんなとこにいるの?」
「俺は会長を探してねーよ!」
真里香と言い争っていると、直樹の足下にソフトボールが転がってきた。
「あれ?阿部君じゃん。」
ボールを拾いにきたのは直樹と同じクラスの大島さんだった。
「珍しいね、阿部君がこんなとこ来るなんて。会長のお使い?」
「いやいや、今日はただの散歩だよ。」
そんな2人のやりとりを、北に100メートル離れた魔の森から双眼鏡で見る者がいた。
「誰ですか!?私のお兄ちゃんに付きまとう、あの女は…。いえ、今は親しげに話すスポーツ女の方が問題ですね。」
この黒髪ツインテール娘。名を阿部美樹(みき)15才。中学3年生で、阿部直樹の妹であり、極度のブラコンである。
過去にに兄に近く女性を見境なく狩ってきたハンターである。
リュックサックから小型のノートパソコンを開いて操作する。
「便利な時代になりましたね〜。ボタン1つで罠が発動するんですから。それでは、さようなら…。」
ピッとENTERキーを押す。
「はい、ボール。」
直樹は大島さんにボールを渡した。
「うん、ありが―――――――キャァァァァァァァァ〜!?」