牛乳と猫スーツ。



「なんだこれ?おもちゃ屋で買ってきたのか?」




「何を言ってるのですか、お兄ちゃん。私も来年には高校生です、流石にアニメは卒業しましたよ。コレはデザインを借りただけですよ!」




美樹が頬を膨らまして抗議する。







「アイツが作った物に似たような物があったよ。名前は確か、『妄想実体化装置』(もうそうじったいかそうち)だったかな?」





美樹から受け取った魔法ステッキを見ながら蓮が言った。






「妄想が実体化するんですか?」




「そうだった気がするが…。確か、かなり想像力が強くないと使えないはずだ。」





「じゃあ、ちょっと貸してください。空飛んでみたいんですよ〜。」




直樹は魔法ステッキを借りて頭の中で空を飛ぶ姿を想像するが、何も起きない。






「あれ?飛べないや…。」



「無理ですよ、お兄ちゃん。会長さんが言ったように、すごい想像力が必要なんです。きっと、それを使えるのは、頭の中がお花畑で、白馬に乗った王子様を待ってるような人だけです。」






「それじゃあ、誰も使えないな…。この学園でそんなに想像力ある人いなさそうだし。」




ステッキを蓮に渡す。







「近所の子供にあげたらいいんじゃないかな?想像力に満ち溢れている年頃だし。」





「それはそれで困るんだよ、直樹。事故に繋がるかもしれないからな…。」





「処分に困ってたんですよ。なぜか壊れないし。なんだか怖くて…。」




ある意味、呪いのアイテムである。
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