牛乳と猫スーツ。
「ゴフッ!?な、何するんですか!!」
直樹は数歩後退る。
「うっ!?」
ドクンと心臓が大きく弾んだ。そして体が熱くなってくる。
一瞬、目の前が真っ白になった。そして次に見えたのは変わらぬグラウンドだった。
「!?」
さっきまで着ていたジャージがブカブカになっており、自分の体が小さくなっている事にも気づく。
「(なんだよこれ!?ちょっと知佳さん!!)」
振り返って、知佳に話しかけたつもりだったが、そこには誰もおらず、しかも声が出ていない事に気づいた。
「(あはは…。マジで?)」
唯一の元に戻れる方法と、副作用がわかっている人物がどこかに行ってしまった。
「ねぇ?」
「!?」
後ろからいきなり話しかけられて、驚き振り返る。
「ボク、どうしたの?」
銀色の短いポニーテールにドクロの髪留め。優華がしゃがみながら話しかけていた。
「先生の子かな?ボク、お母さんは?」
「(ゆ、優華さん!)」
必死に叫ぶが声が出ることはなかった。
「お姉ちゃんが一瞬に捜してあげます。」
「(わぁぁ!?)」
優華に赤子のように抱き上げられて、ビックリしてしまう。
小さくなってしまったからしかたないが、女の子に軽々と抱き上げられるのは、どこか悲しい直樹だった。