牛乳と猫スーツ。
「どういう理由であれ、服が無いと風邪を引く。あの人に頼んでみるか…。」
菫がケータイで直樹の写メを撮り、誰かに送る。
「誰にメールを…。」
優華が呟くと同時に廊下から走る足音が聞こえてくる。
「できたわ!!」
ガチャッとノックもせずに新田先生が入ってきた。
その手には子供サイズの服が握られていた。
「すいません、結子(ゆいこ)先生。」
ペコッと菫が頭を下げる。
「いいのよ、暇だったから。それより早く着せましょう、風邪引いちゃうわ。」
パッパと一瞬で直樹に服を着せる結子。
「うん、ピッタリね。」
服は小さい直樹の体にちょうどよかった。
「ねぇ優華、菫さんが送ったのは写メだよね?」
「だと思うよ…。たぶん目測で作ったんじゃないかな…。」
ヒソヒソと彩華と優華が話す。
「うちの子と同じくらいね。」
「「え!?先生、子供いるんですか!??」」
結子の言葉に彩華と優華が同時に言う。
「あら?言ってなかったかしら?今、5歳よ。」
「「知らなかった…。」」
この学校の教師には知らないことが多いと思った2人だった。
「ん…。」
直樹が目を開ける。
「おや、起きたかい?」
直樹の頭を撫でながら、菫が言った。
「おねーちゃん、誰?」
直樹は声が出るようになっていた。しかし代わりに今までの記憶が無く、本当に子供のようになっていた。