牛乳と猫スーツ。



「どういう理由であれ、服が無いと風邪を引く。あの人に頼んでみるか…。」




菫がケータイで直樹の写メを撮り、誰かに送る。





「誰にメールを…。」



優華が呟くと同時に廊下から走る足音が聞こえてくる。






「できたわ!!」




ガチャッとノックもせずに新田先生が入ってきた。



その手には子供サイズの服が握られていた。






「すいません、結子(ゆいこ)先生。」



ペコッと菫が頭を下げる。






「いいのよ、暇だったから。それより早く着せましょう、風邪引いちゃうわ。」





パッパと一瞬で直樹に服を着せる結子。





「うん、ピッタリね。」



服は小さい直樹の体にちょうどよかった。






「ねぇ優華、菫さんが送ったのは写メだよね?」



「だと思うよ…。たぶん目測で作ったんじゃないかな…。」






ヒソヒソと彩華と優華が話す。






「うちの子と同じくらいね。」





「「え!?先生、子供いるんですか!??」」



結子の言葉に彩華と優華が同時に言う。





「あら?言ってなかったかしら?今、5歳よ。」



「「知らなかった…。」」




この学校の教師には知らないことが多いと思った2人だった。






「ん…。」




直樹が目を開ける。




「おや、起きたかい?」




直樹の頭を撫でながら、菫が言った。





「おねーちゃん、誰?」




直樹は声が出るようになっていた。しかし代わりに今までの記憶が無く、本当に子供のようになっていた。
< 466 / 1,131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop