牛乳と猫スーツ。
「帰るの?」
「ああ、体も落ち着いたしな。」
足を止めずに蓮が答える。
「ちぃも明日には帰るから、家に来て。ちゃんと検査しないと…。」
「わかったよ。」
「猫スーツは直しておくから。」
「頼んだ。」
そのまま蓮は滝のような雨の中を歩き、見えなくなった。
………………………。
……………。
……。
「ん…。」
直樹が目を開けると、見慣れた天井が見える。
起き上がり、見回してみて、自分の部屋だと気づく。
「いつの間に自分の部屋に…。よく思い出せないし、何してたんだっけ俺…。」
とりあえずベッドから出てリビングへの引き戸に手を伸ばす。
ガラッとを引き戸を開けると、知佳がコタツの上でノートパソコンに何かを打ち込んでいた。
「おはよう。」
直樹を見ずに知佳が言う。
「おはよう…ございます。」
反射的に挨拶を返す。