牛乳と猫スーツ。
無名県側から何台ものトラックが走ってくる。それは次狼達から10メートルくらい離れた位置で止まり、そのトラックからヘルメットに防弾チョッキ、銃やナイフを武装した人達が下りてくる。
「武器を捨て投降せよ!すぐに本土から増援が来る、お前達には殺傷許可が出ている。投降すれば命は保証する!」
リーダー格の男がスピーカーを使って話す。
「私が全部殺(や)ってもいい?」
食事を前に待てと言われた子犬が食べてもいいと尋ねるような上目遣いで菫が言う。
「蓮からの伝言だ、『討伐部隊に情けはいらない。龍(お前)の顎(あぎと)で食い尽くせ。』だそうだ。気が済むまで殺ってこい、後ろは俺が殺る。」
次狼は菫の頭を撫でてから増援が来る本土の方へ歩いて行った。
「蓮の許可が出た。」
ポツリと呟き、討伐部隊の方へ歩き出す。
「武器を捨て、両手を上げて止まれ!」
菫は止まらない。
「構え!」
前衛の部隊が銃を構える。
「言い残した事はないか?遺言なら聞いてあげるよ。」
呟きながら歩く菫。
「これは脅しじゃな―――――――」
ドシュッ!
リーダー格の男の強化ヘルメットのあご下から脳天へ黒い刀身の黒龍が貫いていた。
「それが言い残した事か…。変な遺言だな。」