Distance.....
トイレの扉を開けて
「美桜さんどうぞ。」
と嫌味っぽく言う。
「ありがとう弟くん。」
と笑顔で嫌味を返された。
美桜の香水はキツい香りなのに嫌味っぽくなく上品だ。
頭に鮮明に残る香り。
こんなところも計算なのだろうか。
化粧直しを終えて出てきた美桜を席までエスコートする。
俺はこの瞬間が好き。
長身でスタイルが良い美桜は店内で歩くと目立つ。
何回も美桜を見ているうちの従業員たちも視線がいく。
他のお客さんも。
「今日も美桜さんは綺麗ですね。」
「光一社長とお似合いです。」
従業員たちが光一社長を持ち上げる。
アルコールが入っているからか光一社長の表情は上機嫌を隠せない。
しばらく飲んで騒いで光一社長はチェックを出した。
うちの店の幹部が総出でお見送りする。
「タクシー止めて。」
従業員がタクシーを止める。