なにもないこいものがたり
*-*-*
榛理side
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「はーるーんっ!」


廊下を歩いていると、後ろから抱き付かれた。
犯人なんか、見なくても考えなくても分かる


「‥朝から突撃やめろっての、恵都」


名前を呼ぶとニヤニヤ嫌らしい笑みを浮かべながら抱き付くのを止めて隣にやって来た。

「榛んが今日も朝からテンション低いからじゃーん!」

「お前の目は節穴か」

歩が朝からあんな可愛いんだぞ!
テンションが高いに決まってんじゃねぇか!
てゆーかむしろテンション上がりすぎて顔が収拾がつかない‥
口角が上がりたくて上がりたくてウズウズだ!


「朝から突っ込むって珍しいな!
さては、いいことあったな?歩ちゃんとっ」


ここらで紹介でもしておきましょう
彼は、稲沼 恵都(トウヌマ ケイト)
ずっと昔っからの腐れ縁てやつだ
こいつは歩のことも、俺の現状も詳しく知っている唯一のやつでもある。
馬鹿なのが、どーにかしてほしいとこだ

「‥大方、久々に"サナッ"とか呼ばれたんだろ?」

「ま、違うだろうけど〜」とか言いながら笑っているやつの背中をとりあえず睨んだ。
俺が隣にいないことに気付いた恵都は、後ろを振り返って俺を見てこう言った

「‥え、もしかして
マジだった?」



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