なにもないこいものがたり


朝御飯を食べ終わり片付けをしていると、また窓にへばりついていたお嬢様
その視線は、寂しげで外のどこか遠くを見ていた


「どうしました?」

ソッとお嬢様の隣に立つ。
ゆっくり視線が俺に向けられる


「真田は、今日も高等学校に行かれるのですか?」


そう、俺はまだ高校生
そして同い年のお嬢様も高校生だが
お嬢様は屋敷の外、外出禁止令が出ているために高校には通われてはいなかった。


「‥はあ、まあ、行きますけど」

「‥また私は、屋敷の中」

ため息をついてまた外を見た


お嬢様はずっと外に出たことはない訳じゃない。
中学までは俺と一緒の学校に通っていたのだから‥

中学くらいのある日、

いきなり1人で、どこかにいなくなってしまった
誘拐だと思ってパニックを起こしていた俺達だったが‥

実際は、遠くまで旅をしに行き道行く所々で親切をしたのだが
帰り道も分からず、帰りの運賃などもなくさ迷っていたらしい

そんなこんながあり、禁止令が出されたのだ…。


「‥あんなこと、もうしませんのに」

そう、最初はそう信じて禁止令を外した。‥が、

"二度あることは三度ある"

というわけで‥
また同じ過ちをしたお嬢様は、今に至るというわけだ


ほんとに、学習能力ゼロ


「兄様と真田はズルいです‥」

「いや、まあ、勉強しに行ってるわけですし」

「私も、勉強したいです…。高等学校で」

「とまあ、私に言われましてもね」

「そして真田は、私に敬語ですし‥」



‥‥‥‥‥‥‥‥チーン。


「今と、話が全然違うと思いますがお嬢様?」

「お嬢様呼びですし‥」

「いや、え、あ、は、はあ‥?」


話をいまいちまだ理解出来てません




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