私の彼氏
三木真由美
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三木真由美は、M市立芸術大学美術学部の講師である。
毎朝、二時間をかけ大学まで電車で通勤をする。
半年前に、夫を事故で亡くし、二人の息子を食わせるために、懸命に働いているのだ。
彼女の悩みは通勤時間の長さであった。
片道二時間、一日四時間も電車に揺られなければならないのである。
どのように時間をつぶそう?
何かを読もうか?
しかし、毎日、雑誌を買えるほど、三木家には余裕はない。
彼女のカバンには、いつもテキストである分厚い『傑作デザイン集(三)』が入っているだけだ。
何もせずにいると、亡くした旦那のことを思いだして、泣いてしまいそうになる。
毎朝、二時間をかけ大学まで電車で通勤をする。
半年前に、夫を事故で亡くし、二人の息子を食わせるために、懸命に働いているのだ。
彼女の悩みは通勤時間の長さであった。
片道二時間、一日四時間も電車に揺られなければならないのである。
どのように時間をつぶそう?
何かを読もうか?
しかし、毎日、雑誌を買えるほど、三木家には余裕はない。
彼女のカバンには、いつもテキストである分厚い『傑作デザイン集(三)』が入っているだけだ。
何もせずにいると、亡くした旦那のことを思いだして、泣いてしまいそうになる。
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