私の彼氏

「五百万円は用意できましたか？」

真由美はそう言うと秋山の向かいに座った。

「あんたが、『ワタカレ』の作者か…。いや、金は持ってきていない。俺は真犯人じゃないからな」

「嘘をつかないで！ 五百万円用意できてないなら、すぐに警察に通報するわよ！」

「ホントだ。俺じゃない。『ワタカレ』に、今日ここに真犯人が来ると書いてあったから、真犯人を確かめに来たんだ。俺は五月を殺ってない！」

「あなたが五月だけじゃなく、三木健介を殺したことも知っているのよ！ 全部白状しなさい！」

「なに？ どうして……。確かに、俺は三木健介を殺した。そして、佐竹という男に頼んで田中という男も殺した。だが、五月だけは殺してないんだよ」

「騙されないわよ。あなたは河合さんを殺し、その後、五月を自殺に見せかけて殺したのよ」

「俺が愛してる五月を殺すはずがないだろう！」

そう叫ぶと秋山は涙を流した。