私の彼氏
翌日、真由美と山崎生徒は五月のマンションに再び訪れた。

まず、大家のところに行き、滞納分と翌月分の家賃を払った。

「かなり荷物ありますね。どうやって、引き払いましょう?」

山崎が真由美にアイデアを求める。

「売ってお金になる物は売りましょう。他は大型ゴミか不法投棄ね。いずれにしても、来月末までの家賃を払ったから、ゆっくりできるわ」

「そうですね。時間もあるし、もう一度、ゆっくり手掛かりを探しましょう」

「それなんだけど、この前、バイブが出てきたじゃない?」

「先生、違いますよ! “ヴ”です。ヴァイブ!」

「“ブ”?」

「“ヴッ”です」

「ヴァイブが出てきたじゃない?」

「はい。出てきましたね。ウンコ付きで…」

「そんなものが放置されてたなんて、警察はほとんど現場検証をしてなかったということよね? 杜撰(ずさん)すぎるわよね? おかしくない?」

「警察は、河合さん殺害犯が五月義隆と決めつけたから、ほとんど現場検証をしなかったのでしょう」

「その警察の判断は…?」

「ゲイの青山刑事の判断ですよね…」


< 158 / 206 >

この作品をシェア

pagetop