私の彼氏
「渡辺君は、健介と付き合っていた。でも、健介はだんだんとゲイからノーマルへと変わっていき、あなたに別れを告げた。渡辺君にはそれが許せなかった。だから、大金を五月達に渡し、健介を殺させた。犯行はあまりにも完璧だった為に、渡辺君を咎める人はいない。でも、渡辺君に罪の意識が出てきた。だから、自分を捕まえてくれという意味で『○△携帯小説』のアドレスを私に送ってきたんじゃないかしら。私はいろいろな人の力を借りて、やっとあなたにたどり着いたのよ」

「よくたどり着いたね。正解だよ。でも、やっぱり俺は捕まるわけにはいかない。ワタナベ自動車も外資との提携で今が一番大事な時期なんだよ。証拠はないんだろ? それにM市で俺に逆らえる奴はいない。警察も取り合わないさ」

「確かに、証拠はないわ。五月も田中も死んでしまったから」

「俺は、健介を愛していた。健介はそれを裏切った。しかも、次に健介が好きになったのは男じゃなく、汚らわしい女だ。それが、許せなかったんだ…」

渡辺は泣いた。


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