私の彼氏
山崎オーナーはそのテープを真由美に手渡した。

その時、真由美の脳裏に梅崎梅子が死ぬ間際に発した言葉がめぐった。

(いいか、真由美。憎しみは憎しみしか生まぬ。復讐は復讐を生む。時には、人を許してやることも必要じゃぞ)


真由美は頷くとそのテープを飲み込んだ。

渡辺と山崎が驚いている。

「私は、渡辺君を警察に突き出したりしないわ。渡辺君の気持ちが分かるし、今まで相当に苦しんできたんでしょうから、もう渡辺君の罪は消えているわ。私は真実が分かっただけで満足よ。それに、この一連の事件の加害者は渡辺君でも五月や秋山でもない。ゲイの人達を受け入れない社会が加害者なのよ。渡辺君達はむしろ被害者なのよ」

「むしろ、オムロン」
と山崎が言った。

「じゃあ、俺を見逃してくれるのか?」

「その通り!!」


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