私の彼氏

2

河合が山崎に来店を依頼した翌日、さっそく山崎は『サツキ』にやってきた。

二度目の来店である。

しかし、今回はもう一人同伴者がいた。

この同伴者の正体を河合は知っていた。

あらかじめ山崎からメールをもらっていたからである。

この同伴者は、同じビルの一階で喫茶店『ユリア』を経営する老婆である。

「いらっしゃいませ」

何も知らないふりをして、河合は普通に接客する。

店には五月と秋山、そして田中がいた。

「今日は喫茶店のママと来ました。仲がいいんですよ」

と山崎が五月らに挨拶する。

何か話しに夢中になっているらしく、三人は軽く会釈だけした。

「わたしゃ、喫茶店があるから一杯だけ飲んだら帰るよ」

老婆はそう言うと、カウンター席に腰掛けた。

「はい。何を飲まれますか?」

と河合が注文をとる。

「梅昆布茶じゃ」

「じゃあ、私も同じ物を」



結局、山崎と老婆は五月と話すことなく、梅昆布茶を一杯だけ飲んで帰った。


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