コイ ノ カタチ
目の前には非常口。


やっぱり、部屋の前を通らないと帰れないみたいで。


あたしはなるべく音を立てないように、その部屋の前を通り過ぎようとした。


だけど──。



「……コウジ……」



コウくんと同じ名前に、思わず足が止まった。


まさか、コウくんなわけない。


ちらっとだけ見て、違うことを確認して戻ろう。


ノゾキとかそんなんじゃない。


心の中でそうつぶやいて、そっとその部屋を見ると──。
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