コイ ノ カタチ
「志穂っ!」



気がついた時には、その場から走り出していた。

どこをどう走ったのか、自分でもわからない。



ドンッ

迷路のような通路を、がむしゃらに走っていたら、誰かにぶつかってしまった。



「ご、ごめんなさい!」

顔も見ないで謝って、そのまま通り過ぎようとしたら、手をつかまれた。



「平井?」


「いち、か……」


よく知ってる顔に気がゆるんだのか、それ以上は言葉にならなくて、あたしはしゃがみこんで泣き出した。
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