コイ ノ カタチ
想像してなかった状況に、体がこわばる。




「もっと男見る目、養えよ」


服の上から伝わる市川の鼓動が、心なしか早いような気がする。



「なんもしないから。そんなに硬くなんな」

「だだ、だって……」


胸に収まったあたしの声はくぐもっていて、ちゃんと届いてるんだろうか。



こんな風に市川に近づいたのは初めてだった。


すっぽりと胸に収まったあたしは、まるで“女の子”みたいだ。
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