晴れた午後、公園のベンチで【短編】
サエキさん
お爺さんの名前は
サエキさん。
サエキさんは、色々な話をしてくれた。
ぽつりぽつりと呟くように。
「家内がね、寝たきりなもので。介護の合間にここで休息するんですよ。」
そうだったんだ…
私と同じなんだ。
お爺さんも、息抜きだったんだ。
いつも幸せそうだから、全然想像もつかなかった。
「私も仕事の息抜きに来てるんです。」
「お仕事は何ですか?」
ふんわりとした笑みを崩さないまま、サエキさんは聞いた。
「物書きです。小説を。」
サエキさんは感心したように頷き、
「それは立派だね。」
そう言ってくれた。