晴れた午後、公園のベンチで【短編】
空っぽ
初めてサエキさんと話した日からしばらく、
私は部屋にこもって仕事をしていた。
相変わらず、書いているのはミステリー小説。
「凄いです先生! 前回の作品に続編の依頼が来てます!!」
小淵は興奮気味に話す。
鼻の穴が膨らんで、みっともない。
「続きなんてないよ。もう終わったじゃない。」
「そこは先生の腕で!」
腕って……
万年筆しか持てないこの腕で何が出来ると言うのだろうか。
「まぁその続編の話は置いといて、今日の原稿出来てます!?」
「出来てるよ。はい。」
私は小淵に原稿を渡す。
「確かに! では失礼します!」
小淵はせわしなく出て行った。