永遠(とわ)に…


「安西さん?」


「ん?」


「母に会いたくないですか?」


「そうだね。加奈ちゃんとは、随分 会ってないなぁ。」


「良かったら、会って帰りませんか?母も喜ぶと思うし…」


私は、母の事を持ち出して 彼を引き止めたかった。


このまま、お別れするともう会えなくなる気がして…


「会いたいけど、今夜は止めておくよ。」


私の思いは、無惨にもはかなく消えた。


「お店に戻るんですか?父も先生も、まだ…」


「行きたい所があるから…」


「そう…ですか…。」


「じゃ、またねぇ。受験 頑張って。」


「はい。頑張ります。」


私は、シートベルトを外し ドアを開けようとした。


「真奈ちゃん?携帯かして?」


「えっ?… 」


「又 いつでも 連絡しておいで…」


安西さんに携帯を渡すと赤外線で 彼の連絡先を送信した。


やった!


「お昼過ぎには、起きてるから…」


「はい。電話もメールもします。」


「じゃ、ねぇ。おやすみ…」


「おやすみなさ〜い。」


安西さんの赤いスポーツカーが 走り去った。


外は、凍えそうになる位 寒かったけど 私の頬はポカポカしてた。
< 33 / 99 >

この作品をシェア

pagetop