永遠(とわ)に…
「安西さん?」
「ん?」
「母に会いたくないですか?」
「そうだね。加奈ちゃんとは、随分 会ってないなぁ。」
「良かったら、会って帰りませんか?母も喜ぶと思うし…」
私は、母の事を持ち出して 彼を引き止めたかった。
このまま、お別れするともう会えなくなる気がして…
「会いたいけど、今夜は止めておくよ。」
私の思いは、無惨にもはかなく消えた。
「お店に戻るんですか?父も先生も、まだ…」
「行きたい所があるから…」
「そう…ですか…。」
「じゃ、またねぇ。受験 頑張って。」
「はい。頑張ります。」
私は、シートベルトを外し ドアを開けようとした。
「真奈ちゃん?携帯かして?」
「えっ?… 」
「又 いつでも 連絡しておいで…」
安西さんに携帯を渡すと赤外線で 彼の連絡先を送信した。
やった!
「お昼過ぎには、起きてるから…」
「はい。電話もメールもします。」
「じゃ、ねぇ。おやすみ…」
「おやすみなさ〜い。」
安西さんの赤いスポーツカーが 走り去った。
外は、凍えそうになる位 寒かったけど 私の頬はポカポカしてた。