†不思議の童話館†
「あっそ、じゃないわよ。ホント、冷めてるわね。」
姉はそう言って、何やら考えこむ様に顎に手をあてた。
そして、
「水晶」
「何?さっきから・・・遅刻したら真珠姉のせいだからね」
「大丈夫よ、私が車で送ってあげるから。どうせ向かう場所同じなんだから」
姉は、私が今日から編入する事になっているクリスタル・ローズ学院高等部の現代文教師をしていた。



「それならいい。別に遅刻してもよかったけど」
「あんたね・・・。やっぱり、あそこに行かせるべきだわ、これは」
私の言葉に、姉が溜め息をつきながら意味深な事を言った。
「あそこって、何?」
私が聞き返すと、姉は得意そうににやりと笑った。
「ふっふっふー。実は最近、学院付近でね、すっごい綺麗な洋館のアンティークショップを見つけたのよ〜」
「はぁ?アンティークショップ?」
「そうよ。小物とか、お人形とかも可愛くて、よく行ってるの。多分、最近出来たお店じゃないかしら?」
「ふ〜ん。で、それが何?」
「だからぁ〜、水晶も一緒に行きましょうって事!」
何で私が、全く興味の沸かないアンティークショップなんかに行かなきゃなんないわけ?
私はそう思ったが、口には出さず、短い返事を返した。
「やだ」
一言。
「何でよ〜」
「私がひねくれてるのと、そのアンティークショップは関係ないし。行きたいとも思わない」
姉は、頬を膨らませて私を睨んだ。
「関係あるわよー。だってそこ、ただのアンティークショップじゃないもの。」
「は?」
「そのアンティークショップさんに、物凄い美形の店長さんがいるのよ」
「あっそ。どうでもいいし。ていうか、美形の店長がいるからって、『ただのアンティークショップ』じゃないっておかしくない?」
私は牛乳を片手に姉を返り見た。
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