†不思議の童話館†
「それだけじゃないわよ、もちろん。そのアンティークショップの店長さんね、お客さんにカウンセリングして、そのお客さんに合った小物や人形をセレクトしてくれるの。それに、その店で買った物には不思議な力があるのよ。私なんて、ブレスレット買ったらあら不思議!肩凝りが見事完治したの」
「・・・変な店。つか、肩凝りならピ○プエレ○バンでも貼っとけよ」
私は思った事を口にした。
だって変じゃん。何、カウンセリングって。アンティークショップでカウンセリングなんて、聞いた事もない。
それって、新手の詐偽か宗教なんじゃないか?
きっとこの馬鹿な姉は騙されている。



私は少しだけ同情を含んだ、冷めた眼差しを姉に向けた。
「だからねー、水晶も一緒に行きましょう!絶対気に入るから!」
しかし姉は、そんな私の視線には気付かずに話を続ける。
もし、姉が詐偽にあっているのなら、それはこの家にとって物凄い損害だ。
しかも血縁者である私まで巻き込まれかねない。
私は意を決し、仕方なしに返事をした。
「分かった。・・・行きたくないけど、行く」
すると、姉は瞳を輝かせてソファーを飛び越えキッチンにいる私に抱きついた。



「さすが、私の妹!話が早い!これであんたのひねくれた性格も、直るわね!」何でそうなるのか分からないし、その言い様には少なからずムカついたが、姉が詐偽にあい、それが元となり借金取りに追われ、最終的に夜逃げという、漫画等でありがちな事には巻き込まれたくないし、これ以上何か言ったらまた煩いのでされるがままに黙っていた。



「それで、その怪しげな店にはいつ行くの?」
私が訊くと、
「今日の放課後に行きましょう。今日はお姉ちゃんも残業ないし、校門前で待ち合わせって事でどう?」
「分かった」
私は、テンション上がりまくりの姉を見て馬鹿馬鹿しく思いながらも、一応頷いた。
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