KANZASHI
「どうや? 結衣。」


正直、嬉しい。

ファンのみんなが私たちのこと
憶えていてくれて、
復活を願ってくれて。

でも、やっぱり私は・・・



「ごめん、てっちゃん。
嬉しいけど、無理や・・・」


私には無理や・・・



「昔のことか?」


「うん・・・」


「そうか・・・ 
たぶんそう言うと思った。」


「てっちゃん・・・」


「おまえらはホンマに酷い目に
合ったもんなぁ・・・」


「・・・・・」


てっちゃんは良く知っている、
私たちが辛い思いをしたことを、
あの世界を去った理由を・・・


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