KANZASHI
「だから無理には誘わへん。」


「てっちゃん・・・」


「でもな結衣? この世界、
批判があって当たり前やないか?
写真撮られたり、
あることないこと書かれたり、
それが俺たちの仕事ってことあるやろ?
人気がある証拠やないか?」


「わかってる!! わかってるけど・・・
わかってるけど、あまりに酷くない?
私たちだって人間や、感情がある!!
あんなこと書かれて笑ってられるほど、
私は強い人間じゃない!!」


「結衣・・・」


「もう嫌やねん・・・
あんな毎日嫌やねん・・・
歌が・・・歌が嫌いになる・・・」


結衣の目には涙が滲む。



「てっちゃん、私な彼氏できてん・・・
今、めっちゃ幸せやねん。
私、この幸せ失いたくないねん・・・」


「結衣・・・」


結衣は涙を隠すように俯いた。



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