KANZASHI
「ううっ・・・ううっ・・・」


なのに・・・

なのになんで?

なんで涙が出るの・・・!?


結衣の涙がポタポタと
アスファルトに落ちる。



私は幸せになりたいんでしょ?
あの世界には帰りたくないんでしょ?

なのに・・・


「なんで・・・ ううっ・・・」


その時、あたたかいものが
私の体を覆った。


えっ!?


「雅宏・・・?」


雅宏は何も言わずに
私をギュッと抱きしめた。


雅宏・・・


「ううっ・・・」


私は雅宏の腕をギュッと掴み、
その胸で思い切り泣いた。


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