KANZASHI
なんともいえない感情が罪悪感が
結衣の心の中を掻き乱す。


もう自分の中では整理できない。


みんなごめん・・・



いろんなことがあった過去、
結衣たちには本当に辛い日々だった。
しかしその分、支えてくれる
ファンのみんなもいた。
だから辛くてもやってこれたんだ。


そのみんなの気持ちに応えたい。
けど、あの世界には帰りたくない。


そして今、やっと普通の生活も手にした、
彼氏もできた。
何も気にせず堂々と街を歩ける。
結衣にとっては憧れていた毎日を
今は過ごしているんだ。
それも失いたくない。



結衣の心の中はぐちゃぐちゃだったんだ。



そんな結衣には雅宏の胸の中は
全てのことから許されたような、
痛みを和らげてくれるような
そんなぬくもりを感じていたんだ。





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