KANZASHI
「だからお願い!!
今回だけでええから、
歌ってくれへん?」


「えっ・・・
急に言われても・・・」


電話越しでもわかる麻帆の必死さ。


ホンマに誰もおらへんねやな・・・



でも今更歌われへん。

もう一年くらい何もしてないし、
声も出へんわ・・・

それに仕事もあるし・・



「ごめん、麻帆・・・
私、仕事がある、
だから行かれへんわ・・・」


「仕事は何時まで?」


「えっ!? 
だいたい5時半で終わるけど、
残業があると時もあるし・・・」



なんか嫌な予感・・・







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