KANZASHI
「ごめん、急ぎすぎたかな?」


結衣はそっと雅宏の手を握った。


「はい。」


「えっ!?」


「はい。」


「じゃあ・・・」


「よろしくお願いします。」


結衣はニコッと微笑んだ。


「結衣・・・」


雅宏は結衣をギュッと抱きしめた。



「必ず幸せにするから!!」


「うん。」



わかってるよそんなの・・・

あなたといれば絶対幸せになれる。

ううん、もうすでに幸せだもん・・・


月明かりに照らされて桜が
風になびいて花びらを落とす、
まるで二人を祝福するかのように
散ったピンク色の花びらたちは
結衣と雅宏をやさしくつつみ込んでいた。


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