甘の邪鬼 ~ツンデレ彼女×イジワル彼氏~
「天音、屋上行こっ」

「ちょ、ちょっと待って!」

「もう、いつまで数学と格闘してんの! 数学嫌いじゃなかったっけ?」

「別に好きになったからやってるとかじゃないしっ」


私立花園高校の、平穏なお昼休み。

4時間目が終わったにもかかわらず、

未だに数学の問題と格闘しているあたしの名前は。

卯月天音。

あたしは全くそんなつもりないんだけど、

周りからは“天の邪鬼”って呼ばれてる。

“天音”っていう名前のせいもあって、

そのあだ名が馴染んでるらしく、

それはクラスから学年、学年から学校全体へと浸透しつつある。

その証拠に、廊下に出ただけで「あ、天の邪鬼だ!」なんて、

指差されることもしばしば。

正直、迷惑……。


「もう、先行っちゃうよー?」

「ちょ、ちょっと待ってってば!」
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