人の恋人は蜜の味。ーa traitor ー
「美沙?美香には本当の事言って良いんじゃない?」
「「えっ?」」
美香と美沙の声が
重なった。
美沙のとぼける姿に
イライラしながら
美沙に耳打ちで囁いた。
「落合とまだ付き合ってるの事。」
一気に焦る美沙。
内容を聞きたがる美香。
私の一言が勝負を分けた。
「美沙?だって…美香は友達でしょ?」
完全なる私の信者と化した美沙は
ついこの前まで他の女子生徒と一緒に
自分をイジめていた
美香にこう問い掛けた。
「美香は友達だよね?」
「当たり前っしょ!」
本当に馬鹿な2人。
美沙は
「隠してた訳じゃないんだけど」
と前置きをした後
落合とまだ付き合ってる事を美香に告げた。
話し終わった後
美沙は不安そうに
美香の顔を見つめていた。
聞かなくても
美沙の気持ちは分かる。
別れていない事を知られて
またイジめられるんじゃないかと。
でも私は確信していた。
美香は別に落合が好きで
美沙の事をイジめていた訳じゃないって事。
ミーハーだから
皆がイジめていたから自分もイジめに
参加していただけ。
今は完全に皆の中に
溶け込んでいる美沙を
またイジめるメリットなんて
今の美香には何一つ無い。
しかも美香のお気に召している私は
美沙の味方をしている。
…ともなれば。
「マジか!良いじゃん美沙!」
本当に読み通り。