人の恋人は蜜の味。ーa traitor ー
自転車にまたがり
学校まで急ぐ。
特に行きたい訳でも無かったけど
家から近いから
この高校を選んだ。
「玲奈おはよ~!!」
「あっ、さっき!おはよ!」
学校から近いだけあって
この道は沢山の生徒の明るい挨拶の声が飛び交う。
もちろんその中に
私の挨拶も加わる。
「真琴おはよ!」
「あーっ、美香おはよっ!」
ワクワクして来た。
今日から新しいゲームを見つけなくちゃ。
3ーC
ここが私のクラス。
美香と一緒に教室に入ると、
窓側の一席を囲む様に
丸い人だかりが出来ている。
「どうしたんだろう?行ってみよ!」
面倒くさい顔が
バレない様に
美香と共に人だかりに近付く。
「どうしたのっ!?」
美香の甲高い声に
全員が振り向く。
「……」
全員の視線は声を掛けたはずの
美香から一瞬で
なぜか美香の隣に居る私に移った。
私を睨む人だかりのせいで
はっきりとは見えないけど
真ん中には野口美沙が俯きながら顔を覆っている。
あ~。
なるほどね。
そういう事か。
凄い速度で私の脳は状況を把握し
新しい
ゲーム
を見つけた。
ゲーム。
スタート。