人の恋人は蜜の味。ーa traitor ー
すぐに美沙は
落合と一緒に居る時間を減らし
それと共に少しづつだけど、イジめも落ち着いて来た。
でも私には分かっていた。
私の事を友達だと思っている美沙は
沢山の事を話して来た。
美沙も落合もバイトをしている事。
しかも美沙の家は
母子家庭で4人兄弟だという事。
という事は。
つまりお金が無く
美沙はかなりきつきつでバイトをしている。
となると。
休み時間も登下校も
一緒に居られない。
バイトも沢山している美沙。
落合と一緒に居られる時間は限られてくる。
そんな時に来た
美沙からの電話。
「真琴どうしよう。
ゆーちゃんがそんなに俺と居たくないのかって怒ってるの。
やっぱり本当の事
話すべきかな?」
読み通りの相談。
泣きそうな美沙の声に
つい笑いかけたのを
今でも覚えている。
ここで落合にイジめられている事を
バラしてしまったら
意味が無い。
「美沙?落合に言ったら駄目だよ。
もし落合に言った事がバレたら、きっとイジめがまたエスカレートするよ。」
「……そうだよね。真琴の言う通りだね。分かった、何となくもうちょっとごまかしてみる。」
美沙はもうこの時
完璧な私の信者になっている事を確認した。