世界の果てまでキミと一緒に。
美しい彼の顔。
氷のように冷たい目で私を見ている。
私だけを見ている……。
そう思うと、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。
彼は傍にあった椅子を持ってきて座る。
長い足を組んだ彼には真っ赤なバラが似合いそう。
「水瀬桜子(ミナセ サクラコ)、◯◯大学の2回生。歳は20。建設会社を経営していた父親と専業主婦の母親、高校生の妹の4人家族」
彼は手に持っていたA4の紙を見ながら淡々とそう言った。
「えっ?」
思わず小さな声が出た。
何で初めて会った人が、うちの家族構成を知ってるの?
お母さんの知り合いだから?
しかも、お父さんが会社を経営していたって……。
何で過去形?