世界の果てまでキミと一緒に。



さっきまで金縛りにあったかのように全く動かなかった足の力が抜け、その場に崩れた。


その時、ドアの開く音がした。


ゆっくり顔を上げる。


そこには千尋様が立っていた。


目を見開き、私を見る千尋様の目は真っ赤に腫れていた。


こんな千尋様は見た事がない。



「桜子、大丈夫か?」



千尋様は、私の傍にしゃがみ込み、そっと抱きしめてくれた。



「素敵な兄妹愛ですこと」


「綾乃、お前が父の送り込んだスパイだったとはな……」



千尋様が綾乃さんを見上げ、そう言って力なくクスッと笑った。


えっ?スパイ?


千尋様のお父様が送り込んだスパイ?




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