世界の果てまでキミと一緒に。



綾乃さんの手から携帯が落ちた。


一瞬の事で何が起こったかわからない。


さっきまで楽しそうに不敵な笑みを浮かべてた綾乃さんの顔が歪み、携帯を持っていた手を押さえていた。



「藤堂……」



千尋様の声に顔を上げると、そこには藤堂さんがいた。


きっと藤堂さんが綾乃さんの手を叩くか蹴るかして携帯を落としたんだ。


藤堂さんは、無表情で床に落ちた携帯を拾い上げると、それを真っ二つに折った。


そして折られた携帯を綾乃さんに投げつける。



「社長!桜子さん!大丈夫ですか?」



さっきまで無表情だった藤堂さんは、今は心配そうに千尋様と私を見つめている。



「俺たちは大丈夫だ。でも藤堂、何で……」


「社長と桜子さんを助けることも秘書としての仕事ですから。こう見えても私は空手の黒帯なんですよ」



藤堂さんは、そう言ってニッコリ微笑んだ。




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