世界の果てまでキミと一緒に。
「これを持って逃げて下さい。何かあった時のために、社長と桜子さんの荷物を纏めてクローゼットの中に入れておいたんです」
「藤堂、ありがとな。でも、俺は……」
「社長!逃げて下さい!」
藤堂さんは千尋様の言葉を遮って、叫ぶようにそう言った。
藤堂さんは、本当に千尋様のことを心配してるんだ。
それに、もしかしたらこうなることを予想してたのかもしれない。
だから千尋様と私の荷物を……。
「後の事は私に任せて、社長と桜子さんは逃げて下さい、ここにいては危険です」
「でもな、藤堂……」
「社長、言いましたよね?後はお前に全て任せていいか?と……」
「俺は、そういう意味で言ったんじゃない。もし俺たちが逃げて、それを父が知ったら……。そうなったら藤堂、お前は……」
「私は、どうなっても構いません。社長のためなら死ねます」
藤堂さんの目には涙がいっぱい溜まっていて、泣き笑いの表情でそう言った。