世界の果てまでキミと一緒に。




「えっと……確か、この辺のはずなんだけど……」



大きな家が建ち並ぶ、地元では有名な高級住宅街。


住所が書かれた紙を見ながら、お目当ての家を探す。


極度の方向音痴ってわけじゃないけど家が見つからない。


もしかして道に迷った?


夕方の住宅街は“閑静な”って言葉がピッタリ当てはまるくらい静かで人がいない。


何で私が、無関係な高級住宅街に来てるかと言うと……。


それは、さかのぼること今日の朝。



「大学の帰りにここに行ってこれを渡して来て欲しいの」



お母さんからそう言われ、住所を書かれた紙と土日に行った家族旅行のお土産が入った紙袋を渡された。


それで今、この閑静な高級住宅街に来てるわけなんだけど……。


紙には名前や電話番号は書かれてなくて、ただ住所が書いてあるだけ。


お母さんに電話して聞こうにも、携帯も家電も留守電になってる。


てか、お土産を渡すってことは、お母さんの友達か知り合いだよね?


こんな高級住宅街に住む友達か知り合いがいたなんてね。


だったら自分で持って行けばいいのに。




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