世界の果てまでキミと一緒に。
「彼?あぁ、千尋様のことですか?」
「千尋?それが彼の名前なの?」
「桜子様は千尋様の名前は、ご存知なかったんですか?」
私は何も言わず、コクンと頷く。
彼女、いや綾乃さんは彼のことを教えてくれた。
彼の名前は、一条千尋(イチジョウ チヒロ)
29歳。
一条財閥の御曹司で次期後継者。
グループ会社の社長。
独身で、この豪邸で優雅な一人暮らし。
そして最後に「特定の彼女も許嫁もいない」と、綾乃さんが教えてくれた。
日本で一条財閥を知らない者はいないんじゃないか……。
テレビや雑誌でイケメン社長と取り上げられるくらい有名な人。
それが私を買った男の正体。
どうして今まで彼が一条千尋だと気付かなかったんだろう……。