世界の果てまでキミと一緒に。
この年になって、人に髪を乾かしてもらうなんて……。
しかも綾乃さんは美容師さんではなく、一条家に仕えるメイド。
てか、お母さんが一条財閥の御曹司と知り合いだったなんて……。
どういう知り合い?
って、考えてもムダだよね……。
だって私は売られた女で、彼は買った男なんだから……。
「はい、出来ました」
「ありがとうございます」
「いえ、これが仕事ですから」
鏡越しにニッコリ微笑む綾乃さん。
「お食事が出来たと思いますので取りに行って来ますね」
綾乃さんは、そう言って軽くお辞儀をすると部屋を出て行った。
もちろん、私が逃げられないようにドアに鍵をかけて……。